映画 ノマドランド あらすじ ノンフィクションロードムービーの感想

映画/ドラマ

2021年4月アカデミー賞作品賞を受賞した、映画「ノマドランド」(Nomadland)を観ました。

ノマドランドは、ノンフィクションの原作を映画化したものです。

アメリカのシニア達の、異色ロードムービーのあらすじと感想を紹介します。

 

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映画 ノマドランド あらすじ

アメリカのネバダ州で暮らしていたファーン(フランシス・マクドーマンド)は、家財を預けて、キャンピングカーで、旅を始めます。

シニアの年齢の彼女は、夫を亡くしたうえ、大企業の倒産で、住み慣れた街の仕事と社宅を失い、季節労働の仕事を求めて移動しています。

倉庫での梱包の仕事、大規模農場の収穫、飲食店の厨房、色々な仕事をしますが、元は、学校での非常勤の講師もしていた人物です。

 

ファーンは、仕事を求めて旅をしながら、同じようにトレーラーハウスで旅している人たちと、出会います。

このような家を持たない人たちは、「ノマド:遊牧民」と呼ばれています。

トレーラーやキャンピングカーで寝起きをしながら、季節労働をしているシニアたちは、運悪く固定の仕事を失ったり、家族を亡くしたりして、孤独に旅をしています。

 

しかし、彼らは、旅をするうちに、出会いや再開を楽しみ、旅そのものが人生になっています。

ノマドの人々は、一ヶ所に長く住まず、しがらみに縛られることもなく、自由に生きています。

年齢的なものもあり、病気や身体の衰えを感じながらも、行きたいところに行く、放浪の旅を続けます。

 

映画で紹介されるノマドの人たちが、集まる場所があります。

多数のトレーラーが、大自然の中に集結し、ノマドの人々同士、交流します。

家を失って、一人で暮らす人たちには、助け合いも必要です。

ノマドの人が集結する場は、車上生活に関する知識をアドバイスしたり、もしもの時の対処方法を伝授するコミュニティです。

 

そして、出会いを大切にしながらも「またね」と言って、ある日、別れていきます。

ノマドの人々は、友達を持っても、基本的には干渉せず、お互い、自分の道を進みます。

 

ノンフィクション ロードムービーの感想

 

実体験からくるリアリティ

映画「ノマドランド」の原作は、ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド 漂流する高齢労働者たち」で、映画も、ノンフィクション系のロードムービーになっています。

ドキュメンタリーに近い作りの映画のため、あらすじがあるというより、実際に起こったことを淡々と描いて、見るものが自分に照らし合わせて、人生について考えます。

 

主人公のファーンを演じるのは、フランシス・マクドーマンドで、ファーンと知り合い、好意を持つデイブは、デビッド・ストラザーンです。

ベテラン俳優陣以外のノマドピープルは、実在のノマドの人々です。映画のクレジットにある通り、本人が出演しています。

彼らの演技は、実体験からくる普段の生活をそのまま投影させたものなので、説得力があります。

 

この映画は、望むと望まないにかかわらず、トレーラー暮らしになった、高齢者たちの「人生」そのものです。

出演者の風貌や会話は、実際の生活と一致しているので、リアリティを感じます。

 

生活環境と心の変化

トレーラー暮らしをしながら、息子と一緒に暮らすことを拒んでいたデイブは、孫が生まれたことをきっかけに、息子夫婦の家に身を寄せることになります。

デイブは、息子家族と同居すると、孫と遊ぶ「普通のおじいちゃん」になってしまいました。

屋根の下で、安定して暮らすこと慣れ、もはや、旅から旅の生活には戻れないといった感じです。

それを見た、ファーンの心は、揺れ動きます。

 

人の気持ちは、家族や生活環境によって変わります。そして、自分の生きる道は、自分で決めます。

この映画は、家を持たない根無し草のような人生というテーマがありますが、同時に家族を持つことの大切さも感じさせてくれます。

 

長くひとりで旅していれば、金銭的な不自由や、身の危険、孤独死の可能性もあります。

何もない広大な砂漠で、一人で暮らし、自由を感じながらも、死というものについて、強く認識させられます。

映画の中の広大な大地と美しい景色を見ながら、観ている自分も、人生を振り返り、いつか終わりが来ることを考えます。

 

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アカデミー賞 作品賞 監督賞 主演女優賞 受賞

2021年4月末、アカデミー賞の授賞式がありました。

「ノマドランド」は、「作品賞」「監督賞」「主演女優賞」を受賞しました。

 

作品賞: ノンフィクションとドキュメンタリーが入り混じった、作品のリアリティが評価されました。広大な大地や海の映像もすばらしいです。

 

主演女優賞: 実力派女優、フランシス・マクドーマンドが、地味ながら会心の演技で受賞しました。自らも、ノマドの人たちと一緒に、長期間キャンピングカー生活をし、迫真の演技が評価されています。

 

監督賞: クロエ・ジャオ監督は、中国・北京出身の女性監督です。アジア出身の監督ということで、多様性の表れとしても注目される監督です。

 

まとめ

映画「ノマドランド」(Nomadland)のあらすじと感想を紹介しました。

ノマドランドは、車上生活を送る高齢者の放浪の旅を描いています。

人生は、ある日変わり、生きている限り、自分は変化に対応しなければなりません。

選ばずしてトレーラー生活になることもありすが、どんな生活になろうとも、多少の選択の余地は残されています。

人生を振り返り、人生について考えさせられる映画でした。

 

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