2020年8月14日公開の映画「ファヒム パリが見た奇跡」を観てきました。
フランスを舞台に、バングラデッシュ難民の少年がチェスを通して、自由を勝ち取ろうとする物語です。
実話をベースにした、お勧めのヒューマンドラマです。
あらすじ
バングラデッシュから、政治難民として、パリに逃れてきた、ファヒム少年とお父さん。
お母さんと兄弟を、自国に残してきました。
ファヒムは、パリで、滞在許可を待つ間に、学校に通い、フランス語を学びます。
元々、子供チェスチャンピオンだったファヒムは、パリのチェスクラブに通い、頭角を現します。
彼には、友達もでき、わずか数か月で、フランス語を話せるようになりました。
果たして、ファヒム親子は、フランスでの滞在許可をもらい、お母さんたちを呼び寄せることができるのでしょうか?
ストーリーのポイント
頭の回転が速く、勝気なファヒムは、訳あって偏屈になってしまった、チェスの師匠とぶつかりあいますが、次第に打ち解けていきます。
すぐに友達を作って、言葉を覚えて、社会に溶け込んでいくのは、やはり、少年ならではのことです。
それに引き換え、言葉を覚えられず、控えめなお父さんは、滞在許可を申請するのも一苦労です。
親と子、師匠と弟子、外国人の少年と友達、外国人チェス少年とライバル少年。
実話に基づいたストーリーは、推測がついてしまいますが、この映画は、人間味あふれるドラマになっていて、惹きつけられます。
映画の感想
故郷を捨て、脱出するということ
バングラデッシュの社会情勢については、あまりわからないのですが、政府に反対する人達を武力で排除しようとするのは理解できます。
さらに、貧しい生活の中で、突出した子供を妬む人がいるのも、わかります。
命を守るために、不安の中で、故郷を捨てるのは、大変なことだと思いますが、フランスには、そんな難民たちを、受け入れてくれる施設があることに驚きました。
しかし、難民認定されなければ、国外退去になります。
不法滞在なのか、政治亡命なのか
少年は、学校やチェスクラブで受け入れられましたが、どこの誰ともわからない外国人が押し寄せることに、恐怖をおぼえる先進国もあります。
滞在許可のない外国人を捕まえる警察官も、その人が、ただの不法滞在者なのか、政治亡命を望んでいるのかわかりません。
映画を見ている私たちは、その親子を知っているつもりになりますが、もし、町で外国人を見たら、その人が誰なのかはわからないため、複雑な心境になります。
能力を開花させる
チェスにたけていたファヒム少年は、師匠を得ることによって、対戦を制するわざを学んでいきます。
若きヒーローが生まれている日本の将棋のように、チェスの世界でも、テクニックを駆使することにより、勝敗が決まっていきます。
勝負には、天才的な能力に加えて、地道な努力と、忍耐も必要だと感じました。
負けるくやしさが人生を変えるのではなく、くやしさとバネに修行を積み、常に紳士的な態度で、ゲームに臨むことが、進歩を生みます。
キャスト
アサド・アーメット
ファヒムを演じた、アサド・アーメット君は、映画製作の3か月前に渡仏したとのこと。
パリに慣れていない初々しさと、頭脳明晰さを、上手にに表現しています。
ジェラール・ドパルデュー
チェスの師匠のシルヴァンを演じた、ジェラール・ドパルデューは、フランスの名優。
この映画の中でも、気難しい部分とやさしい部分を、うまく演じわけています。
そのほかの俳優
お父さんやファヒムの友達になった子供たち、チェスクラブのマダム。
皆、自然な演技の中に、愛情があふれていて、よかったです。
ファヒム少年のその後
ファヒム少年のその後は、映画の公式ホームページに記載があるので、アドレスを記載しておきます。
まとめ
この映画は、難民の少年が、人々の支援を受けて、苦難を乗り越えていきます。
奇跡をを起こした少年が、いずれ、大人になって、自分の力で身を立てることを、願わずにはいられません。
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